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米の減反政策が始まったのが51年前、米の消費拡大のためには海外へ輸出することが必要になるという考えを持っていましたが、なかなか実行することが出来ませんでした。十数年前に輸出を担当できる人材が入社したことをきっかけに、本格的に海外展開に取り組むようになりました。
まずはお米を海外展示会に出展しました。商品に関心は持っていただけたのですが、なかなか輸出には繋がりませんでした。そのような中、数年前から新たにグルテンフリーのパスタや麺類といった商品の提案を始めたところ、興味を持っていただける機会が非常に増えました。一方で、輸出の際の輸送費や手数料などといったコストが上積みされることで商品の価格が高くなってしまうことが課題となりました。その対策の一つとして、農林水産省の補助事業を活用し、秋田から目的地まで直接コンテナで商品を運ぶ仕組みを作りました。それにより輸送コストの削減が期待でき、取引に繋がる可能性が上がりました。
輸出のため様々な試行錯誤を繰り返してきたことが、ここ数年でようやく形になりつつあります。
海外へはパックご飯とグルテンフリー商品を中心に展開しています。また、新たに玄米のレトルトパウチ商品も提案しており、今後はそちらを加えた3つの商品を中心にして海外展開を進めていきます。そして、最終的にはお米そのものの輸出拡大にも繋げていきたいと考えています。
令和3年12月にはパックご飯12000食を台湾に向けて初めて出荷しました。また、2月には中国向けにコンテナ1本分が輸出されました。他にも中国からの引き合いが何件か来ており、現在商談中です。それ以外の地域では、アメリカや香港などからも商談のお話しを頂いています。
パックご飯については現在アジアが中心となっていますが、全国的にはアメリカが最大の輸出先となっています。そういったことも含めて、今後はアメリカ、そしてオーストラリアなどにも販路を広げていきたいと考えています。
パックご飯は、県内同業他社6者や秋田銀行と共に設立し、令和3年7月に稼働を開始した「株式会社ジャパン・パックライス秋田」で生産しています。最大で年間3500万食から4000万食の生産が可能となっています。現在は年間3000万から3500万食の生産を見込み、フル稼働で生産しているところです。
日本人が食べる1年間の食事量は約1300億食です。
日本では50年前には年間1400万トンの米を生産していました。今日では700万トンで、この50年で生産量が半分にまで減少しました。
一方、パックご飯は30年前に誕生し、今日では年間14億食分が生産されています。パックご飯は電子レンジで2~3分で手軽に食べられますので単身・共働き世帯の増加や高齢化により需要は増加傾向です。また、コロナ禍でさらに家庭需要は増加しています。
海外については、お米そのものを輸出するには様々なハードルがあり簡単にはいかないのですが、パックご飯は比較的輸出がしやすいこともあり、最終的に米を輸出するための戦略商品としても有望な商品だと考えています。
海外で日本の商品を売る場合、とくにアジア圏での話になりますが、日本のパッケージのままが良いということをよく言われます。そのため、あえて海外向けのパッケージにはしていません。
また、パックご飯をお米の産地で生産するメリットとして、通常はパックご飯のメーカーは色々なところからお米を仕入れて生産しているわけですが、こちらのパックご飯の場合は秋田で作ったお米を、秋田の水で炊飯し、秋田の会社が生産しています。最終的には秋田港から輸出したいという目標もあり、いずれはオール秋田で取り組めるというところもメリットの一つだと思っています。
コロナ禍における世界的な物流の混乱で、秋田港からのコンテナ輸送の経由地である釜山港でもスケジュール遅延が発生しています。そのため、令和3年12月に台湾に向けて出荷したパックご飯が、台湾の基隆港(キールン港)に到着したのが、到着予定の1月16日から約半月遅れた2月4日でした。遅延により入港日が台湾の春節休暇と重なってしまったために、通関手続きができず、さらに納品が遅れる事態となりました。パックご飯は賞味期限が長いため品質の低下などの悪影響はありませんでしたが、コンテナ輸送の遅延問題は今後も注意が必要です。
さらに、このような港湾混雑やコンテナ不足によって物流費が急騰していることも大きな問題となっています。商談で関心を持っていただいたとしても、物流費の上昇が価格に反映されてしまうため受注にまでは至らず、数件が保留となっています。
新型コロナの感染拡大が落ち着いたら、コロナ禍で中断されていた商談もありますので、まずはそちらから進めて行きたいと考えています。
パックご飯、お米で作ったグルテンフリー食品、そして新たに玄米のレトルトパウチ商品の3つを輸出用商品のメインとしながら、最終的にはお米の輸出にも繋げていきたいと考えています。
また、我々の商品だけでコンテナ1本分を満たすとなると、なかなか難しい場合もありますので、他の県産品も合わせてコンテナに積み込むことで、地域商社のような役割を果たすことも考えており、実証しているところです。
そういった事も含めて秋田県や当社メインバンクである秋田銀行など関係先と連携しながら進めていきたいと考えています。