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金紋秋田酒造の商品構成は熟成酒(古酒)が中心です。この熟成酒はワイン的な要素があり、食事と一緒にワインを飲む文化に合うのではないかと考えました。さらに日本酒には本来持っているパワーである「うまみ」があります。例えば、同じチーズを食べたとしてもワインと日本酒それぞれで異なる味が楽しめるという感想を聞いたことがあります。この「うまみ」を世界に発信したいと考えました。
日本酒は日本国内の食卓だけでは需要が小さくなっているところですが、2009年にIWCのChampion Sakeを受賞したことをきっかけに、ワイン文化のある海外市場で戦えると確信しました。「うまみ」、これを生かすことが日本酒の活性化につながると考えています。
価格設定と輸出に関わる事務手続き、これらは初めてのことでした。独自での輸出の際は事務手続き、配送手配、その他にとても時間がかかりました。価格については単に高い安いではなく、当社のこの日本酒はこの価格で適正だ、という価値観をもってもらうという姿勢を貫いています。また、よく言葉の壁といいますが、当社の場合はたまたま相手が日本語ができたり、スタッフに日本人がいたりと、幸いなことに日本語でほぼ足りているので言葉は課題にはなりませんでした。
キーポイントは、良いディストリビューターと出会うこと。当社はまずタイから始めました。今から1年半くらい前、たまたまきっかけを作ってくれた人がいたことで取り組み始めました。ただ、結果的にタイへ輸出したのはつい最近で、時間がかかりました。その他の国は現在、フランス、イギリス、スペイン、スウェーデン、韓国、台湾、中国、オーストラリアに輸出しています。どれも偶然の出会いなどによって取引につながっています。例えば、あるチーズ輸入販売会社の社長の娘さんが銀座のバーで当社の「X3」という商品を飲んだ際に「これはチーズに合う」と感じたということで、直接当社にお問合せの連絡をいただきました。その後「SIAL」(パリで隔年開催される国際食品見本市)にて、その会社の取引先であるイタリアのチーズメーカーのブースに当社の商品も陳列してもらえることになり、それがフランス進出のきっかけとなりました。
国や秋田県の補助金(海外新拠点開設支援事業補助金)を活用させていただき、助かりました。
展示会(物産展)はお客さんが大勢来て、その場ではおいしいといいますが、ビジネスにはあまりつながらないと感じています。口コミの紹介が一番と実感しています。
海外取引に本格的に取り組んでから1年半くらいになります。この1年は海外出張も頻繁にこなしてかなり精力的に動きました。その結果、今の取引先とは良いコミュニケーションが取れていますので、当面はこれら取引先への対応をより深いものにしていきたいと思います。もちろん、新しい取引先でも当社に関心をもって来てくれる人は拒むことはなく大事にしていきたい。当社としては引き続き海外市場への取り組みを強化し、売り上げに占める割合を20%くらいにしたいと考えています。