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以前から国内販売で樺細工など工芸品の伸び悩みなどを感じておりました。海外へは6、7年前から商社を通して樺細工品の販売をお任せしておりましたが、一度現地へ足を運んで、現地での生の声やヨーロッパの雰囲気などを感じたいと思い、ドイツ(フランクフルト)で開催されていた“アンビエンテ”(国際消費財見本市)へ出向いたことが大きなきっかけとなりました。
その後、フランス・パリ在住の日本人女性から突然電話があり、はじめにクレームかと思いましたが、実は逆で内容を聞いてみるとフランスの友人へお土産として購入した茶筒が大変好評であったという嬉しい内容でした。この一本の電話がきっかけで、海外展開についてさらに本気で取りかかろうと思いました。
海外へ商社を通じて商品を取引していた際に、マージンなどもあり現地での販売価格が高くなってしまい、もう少し“安価”で“どなたにでも手にとってもらいやすいような価格”で販売したかったことがありました。また、実際に直接現地に足を運んで、商品説明する際にあまり語学が堪能ではないので上手く伝わらなかったこともありました。
1つ目が外国語コミュニケーションの強化です。幸い語学堪能な秋田国際教養大学から人材を得ることができ、現地商談会での商品説明や契約関係の書類作成など大幅に変わり、取引にもスピード感が出ました。
2つ目が国内価格をベースにした商品の定着化です。直接取引などでより多くの人に商品を手にしてもらうとともに、テーブルウェアなどの写真を用いて伝統と新たなデザインの伝四郎の「イメージづくり」をしています。ヴィジュアル化することで、言葉だけでの説明では伝えきれないものが直感で分かってもらえますから、買い手と売り手の考えのマッチングがとてもスムーズです。
海外展示会の出店の際に初期投資がかかるため、補助金制度などの情報を自分で探し、選択したのが応援ファンド事業(※)です。後に経済産業省の補助金なども利用させていただきました。また補助金以外の面では、ジェトロ様から専門家を紹介いただき、ヒアリングや査契約方法等でアドバイスをいただきました。この結果、「相談できる機関等があればなによりも心強い」と感じております。
海外販売することで関心が深まり、国内からも海外向け商品が欲しいという声があり、つまり国内市場にもよい影響があると考えています。このような状況が会社自体のよい動機付けになり、工芸士のモチベーションも上がって、今後も品質が高くより良い商品作りが期待できるという利点が生まれました。
現在、ヨーロッパ等へ販売しておりますが、全体の売上高のうち海外取引を倍増させ、今後10年内に約20パーセントまで伸ばしたいと考えています。また、毎年に1つは他企業との“コラボレーション”を行った商品を生み出したい。当社のブランド名の強化と展示会の出展の継続を考えながら、樺細工全体のグローバルスタンダードを目指していきたいと思います。