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横手市で培養したNS乳酸菌を世界へ発信

NSバイオジャパン株式会社
 NSバイオジャパン株式会社は平成21年8月発足、秋田県横手市雄物川町にある旧・沼館酒造(館の井)の建物や製造設備を利用して有益共益乳酸菌(NS乳酸菌)の培養、商品を製造しています。現在は、新たにオンラインプラットフォームを活用した海外販路開拓にも取り組んでいるとのことで、取締役営業部長 吉村誠一氏にお話しを伺いました。
横手市雄物川町にあるNSバイオジャパン株式会社(外観)
酒蔵の製造設備を利用して乳酸菌を培養

-御社の商品についてお聞かせください

  NS乳酸菌を使用した健康食品(サプリメント)、化粧品、ペット用品、家畜飼料、ぼかし肥料用乳酸菌などを製造・販売しています。
 NS乳酸菌とはモンゴルの大草原から採取・選定した乳酸菌群で、雄物川町にある旧・館の井の酒蔵を活用して培養しています。NS乳酸菌は糖類、タンパク質、食物繊維に高い消化・分解力を持つ特徴があります。
 健康食品はOEM商品がほとんどで、自社アイテムは現在4アイテムほどです。健康食品は効果・効能を広告表示することはできませんが、「健康促進・維持」のニーズに応える為、中国科学院で解明された乳酸菌の能力を示し、腸内環境のみならず、生活習慣病改善や抗アレルギー、抗感染症等、「免疫力を高める予防医学食品」として提案しています。
 NS乳酸菌は家畜や野菜などの良品多収穫による生産性向上効果も期待できます。例えば養豚でNS乳酸菌を配合した飼料を与えた場合、餌の消化・吸収率が上がるため成長が早まり、出荷までの日数が10~20日短縮されたという検証結果が出ています。さらに、不飽和脂肪酸やアミノ酸の増加、免疫力の向上のほか、内蔵が小さくなる効果もあり、同じ重量から多くの肉がとれるようになります。

厳密な管理基準に基づく衛生管理の中で製造

-海外展開への取り組みについてお聞かせください

 弊社は「NS乳酸菌」発見者である金鋒(きんぽう)博士の技術指導の下、「有益共益乳酸菌(NS乳酸菌)」の培養拠点として、国内外の人々の健康維持や安心安全な農作物の生産に貢献する事を「企業理念」としています。

人類遺伝学博士 金鋒氏プロフィール
金鋒(JIN FENG 日本名:きんほう モンゴル名:ALTAN ULANTUG)
1956年、中国・内モンゴル自治区フフホト市生まれ。
1987年東京大学理学部修士、博士課程修了。人類遺伝学博士。
中国科学院教授(心理健康重点研究室)や、オーガニック国際認証機関のQAI(Quality Assurance International)の検査官等を歴任し、行為生物学及び人類微生物共生共存の生物学的研究に従事。金鋒博士が発見した「NS乳酸菌」の基礎研究及び応用研究は、中国国内外から注目を集めている。特に「共生菌」と人間の精神状態の関係に着目し、「腸脳相関」に関する研究多数。2009年より、NSバイオジャパン(株)の顧問として「NS乳酸菌」関連商品の研究・製造指導を行う。

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 現在は、海外企業3社からOEMを受託し、NS乳酸菌サプリメントを出荷しています。
 また、肉や野菜の生産効率を高める効果があることから、NS乳酸菌を配合した家畜飼料や堆肥は、日本と同様に国土の狭い国での需要が期待できると考え、かねてより海外への発信を目指してきました。外部にも協力を依頼するなど、サンプルやデータの収集を続け、ようやく基本ベースが出来ました。ところが、新型コロナウィルス感染症の影響により、現在は思うように営業活動ができなくなっています。
 そのような中で、令和3年7月に秋田県貿易促進協会によって開催された「オンラインを活用した商取引セミナー」において、Alibaba.com(アリババドットコム)というオンライン展示会の存在を知りました。日本にいながら海外のバイヤーと出会えることに関心を持ち、オンラインプラットフォームを活用した海外販路開拓の新しい手段として導入に至りました。

-アリババドットコムについてお聞かせください

 アリババドットコムは、世界190以上の国と地域のバイヤーが集まる、世界最大級のBtoBオンライン展示会プラットフォームです。当社では令和3年9月から導入を開始しており、現在16種類の商品を出展しています。

アリババドットコム内のNSバイオジャパン株式会社ホームページ

NSバイオジャパン株式会社の商品(一部)

 月ごとに変動はありますが、アメリカ合衆国のほか、バングラデシュ・インド・パキスタン圏や、インドネシア・フィリピンなど東南アジアからのアクセスが多くなっています。バイヤーからアプローチがあるのは月に4~6社程度と、まだ多くはありませんが、当社ではバイヤーからの問い合わせに対して、常に24時間以内に返信を行うよう心がけています、これについては主催者であるアリババからも高い評価を受けています。また、アリババドットコムには、サプライヤー側からバイヤーを検索してアプローチできるRFQという機能もあり、積極的に活用しています。
 日本側のサポート窓口は、アリババジャパン株式会社という日本法人ですので、日本語でのサポートを受けることができるため安心です。基本的なサポート内容は、商談までのプロセスに関するアドバイスやレクチャー、テキストによる商談のための文例紹介、相手企業のログイン頻度・信用調査・アクセス解析などです。さらに、アリババの担当者とは3か月に1回のペースで定期的なミーティングを行っており、成果を上げるための戦略を検討しています。現在はアドバイスを受け、商品ラインナップの拡充や、商品説明のための画像や動画の追加など、内容のブラッシュアップを進めているところです。
 出展費用には、秋田県の「海外展開支援事業費補助金」を活用しました。アリババドットコムへの出展には、初年度に初期費用も含め約200万円、翌年からは年間約100万円の出展料がかかります。これまで東京ビッグサイトなど国内展示会には出展したことがありますが、ブース製作や出展料等で100万円くらいかかり、さらに旅費や人件費などを合わせると、一回の展示会で130万円くらいの費用がかかっていました。それを考えると決して高い金額ではないと考えています。

-アリババドットコムの活用中に生じた問題はありますか

 商談は基本的には英語で行います。主にテキストによるやり取りになりますが、その際には、アリババから紹介を受けた翻訳ソフトを活用しています。一般的な翻訳ソフトよりも精度が高いということもあり、言語については今のところ問題無く対応できています。海外バイヤーとの商談の際には、日本的な遠回しな表現ではなく、伝えたい内容をシンプルに伝えることを心掛けて対応しています。
 色々な国の方に関心を持っていただけるのはありがたいのですが、中には大量のサンプルを要求してくるバイヤーや、逆に自分たちの商品を買わせようとするなど怪しい内容もあるため注意が必要です。バイヤーの取捨選択をしながら取引先を発掘しているところです。

-今後の目標、展望についてお聞かせください

 まずは、出来る限り早急にサンプル発送まで進む商談を実施し、年内には新規の取引を成立させたいと考えています。
 今後は、食品や飼料のような製品だけではなく、乳酸菌の粉末や液体の輸出にも力を入れていきたいと考えています。乳酸菌はHSコードもあり、輸出の手続きは特別難しいものではありませんが、液体だとあまり日持ちがしないこと、また輸送時にコンテナ内の温度が上昇すると乳酸菌が死滅してしまう恐れもあるため、温度管理のコストがかかり、価格が上がってしまうという課題があります。
 秋田県の横手市で生産・培養しているNS乳酸菌を、どんどん海外に発信していきたいと考えています。

NS乳酸菌生菌粉末

取材後記

 アリババドットコムというオンライン展示会ツールを新たに導入していますが、担当者とうまくコミュニケーションを取りながら取り組んでいると感じました。今後さらに有意義な商談に繋がっていくことを期待しています。
 長引くコロナ禍により、このようなオンライン展示会や越境ECサイトの活用に関心を持つ方がますます増えています。実際に導入することに不安を感じたり、どこから手を付けていいか分からない方は、まずは各自治体や支援機関で開催する各種セミナーや個別相談会などをご活用ください。

NSバイオジャパン株式会社

〒013-0205 秋田県横手市雄物川町今宿字高花15番地
電話:0182-22-3015
https://nsbj.jp/
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